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総合園芸大系＿園芸総論 世界園芸発達史 大井上康 |
五、果樹園芸の発達
５ 柘榴
優良品種の出現
今日米国加州では多数の品種が作出され、相当大規模の果園が作られて居る。欧州では仏国、伊太利、西班牙が主産地で、殊に西班牙種は大果甘味で欧州市場で歓迎されて居る。支那でも古くから栽培されたものであるけれども、西部及中央アジアよりはずつとおくれて居るのである。これは西域より移椊したからであるのは云ふまでもなく、二千年前に張騫がサマルカンドより持ち来つたものである。本邦へは支那より渡来したのであるが、主として花木として発達したのは桃の場合と殆ど同様で、よく国民性と邦人の食物の種類がわかると思ふ。
柘榴の原生地はペルシア、クルディスタン、アフガニスタン、ベルチスタン等で、此処から西は欧州及アフリカへ東は印度及支那へ移椊されたものである。西班牙では無核種ハーチヴァ Jativa（又はシンペピータ Sin Pepitaとも云ふ）があり、米国にも半無核種があるが、準無核品種中に優良のもの多く、米国加州ではワンダーフル Wonderfulが全面積の九割を占めて居るのである。
