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総合園芸大系＿園芸総論 世界園芸発達史 大井上康 |
花卉の発達
優良品種の出現
十八世紀に於ける発達は余り目ざましいのはない様で、之が真の発達は全く十九世紀になつてかれでしかも必要花卉の一つに数へられる様になつたのは十九世紀の末葉より近々四十年来の事である。種苗商のカタログに顔を出し始めたのも前世紀の末らしい。何でもロンドンのフリート街一五二の種子屋ジョンマッソンのカタログに載せられたのが初めらしい。一八〇一年に出版された Mawe の”Gardener”はスヰートピーを扱つた書物の最初のものであると云ふ事を聞いて居る。そして此書では最も普通な花卉が集められてあつて一年草が三つの分けられてゐる。スヰートピーは其の第三番目の章で述べてある。之に次ぐものはページ Page の”Prudomus”で一八一七年に出版せられ、白、紅、紫、黒、縞及びペインテットレディ Painted Lady の六品種が記載されて居る。此のペインテットレディは紅色の旗弁に白色の翼弁及竜骨弁を持つて居て大分美しいものであつた。
一八四二年にはヂェームスカーター Jamse Carter と云ふ種子屋が六種、一八六〇年には九種を発表し此の中には青色の縁のあるものがあつたと云はれて居る。色々の品種に特別の吊称が附せられ始めたのは、一八七〇年以後の様である。此の時分の品種には Crown Princess of Prussia ; Invincible Black ; Invincible White ; Invincible Scarlet 及びInvincible Striped の如きものがあつた。スヰートピーの改良に大なる貢献をなしたのは、ヘンリーエックホード Henry Eckford とアトレーブルペー Atlee Burpee の二氏である。そして此の期に於けるスヰートピーの発達はエックホードによつて遂げられたと云つても過言でない。彼は事実上スヰートピーの元祖である。彼が交配、育種をするまでは殆んど見るべき進歩がなかつたのである。英国に於けるスヰートピーの紀元は一七〇〇年であると前に述たが、其実一八八〇年前後彼が之を改良するまでは殆ど看られなかつた。彼は当時 Boreaton Park の Dr. Sankey の園芸主任であつて、専心スヰートピーの育種に努力して来たのである。彼が Princess of Wales ; Indigo King ; Orange Prince 等を出したのは一八八五、一八八六年の頃であつた。
