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総合園芸大系＿園芸総論 世界園芸発達史 大井上康 |
花卉の発達
優良種の作出
話は前にもどつて、一八三四年マチウの父がインキナンスの実生に依つて得た成功は大した影響はなかつたので一八五七年頃までの新種の生産は殆ど英国の独占であつた。一八五七年にはルイファンフット M. Louis Van Houtte がフロールデセルエデジャルダン・ド・ルーロップ Flore des serres et des jardiens de l’Europe に於て仏国の育種家が真剣に隣国に対抗し出した事を語つて居る。それで英国のスミス Smith、キングホーン Kinghorn、ターナー Turner、イングラム Ingram、仏国のバブイヤール Babouillard、ドュフォア Dufoy、ドマージュ Domage、ミイエ Millet、シャールデンヌ Chardine、ルモワンヌ Lemoine、ベルニオウ Bernieau、ブウッシャールラ Boucherlat、ジャールロオ Jarlot、ブッシイ Bouchy、リールヴァル lierval等が挙げてある。仏国では一八五四年頃もでは僅に二三の品種しか認められなくて一八四五年にショオヴィエール M. Chauviere がゾナル・レヂネ Zonale reginaeを栽培した事、一八五二年にヂボウ Thibautとケテレー Ketelee がインキナンス・ヂエニーリンド Inquinance Jenny 及びジュピテ Jupiter を市場へ出した事が記されて居る。
此の前後の事に関しては、前記のFlore des serres et des jardiens de l’Europe や、仏国中央園芸協会の記録其他の文献によつてかなり詳しくしらべられるのであるが、まだ少し述べたい事もあるから凡て省略し以下少しく重要なる種類のみに就て極簡単に其発達をお話ししたいと思ふ。
