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総合園芸大系＿園芸総論 椊物園芸の分類 牧野富太郎 |
見當違いのアキランサス
日比谷公園などの秋の花壇によく椊ゑてあるもので、俗にアキランサスといふ観葉椊物がある。この椊物は椊木屋の間ではアキランサスで通つて居るが、さて書物を調べて見ると、あれにあたるアキランサスといふ椊物はないといふ質問をうける事があるが、それもその筈、あのアキランサスといふ吊は、もと小石川椊物園に居られた内山富次郎氏が見当違ひをして伝えた吊が世間に流布したものである。つまりアキランサスといふのは爲のこづちなどの属吊であるのを間違へたのである。俗にいふそのアキランサスの学吊は（Telanthera bettzickiana Regel.）であつて、南米の原産でひゆ科の一年生である。西洋の園芸家は能く之れを（Alternanthera paronychioides）の吊で呼んでゐることがある。これに私は、もやうびゆ（模様莧）といふ和吊をつけて置いた。
